高卒認定、高認 数学のの新範囲「集合の要素の個数」の問題の解き方の解説。数学が苦手な人でも簡単な基礎(約数や倍数、カップとキャップなど)を覚えれば、簡単に解けます。ぜひ、高認数学の得点源にしよう!
「集合と命題」は大学入学資格検定(大検)の数学Iで出題されていましたが、教育課程の改正に伴い、高認の数学の範囲外になりました。そして、再度、教育課程が改正され、平成26年以降の高卒認定(高認)の数学の範囲に「集合と命題」が再び加わることになりました。
※「集合と命題」は平成24年度の高校入学生から実施されている新教育課程の数学Iのカリキュラムに再び組み込まれました。平成26年の高卒認定試験(高認)は、新教育課程で実施されるため、数学Iの範囲に「集合と命題」が加わることになります。
高卒認定試験(数学)の「集合と命題」の出題内容としては、次の3つが考えられます。
1:集合の要素の個数を求める問題
2:ベン図を選ぶ問題
3:命題(命題の真偽、必要条件、十分条件)
過去問を見ると、1と2が中心に出題されることが予想されます。そのため、当サイトでは、1と2の問題の解き方を解説します。まず、こちらのページでは、1の「集合の要素の個数を求める問題」の解き方を解説します。
高卒認定試験(高認)対策として、特に数学が苦手な人向けの解説です。本文は長くなっていますが、鉛筆で書きながらゆっくりとチャレンジしてみてください。数学が超苦手な人でも理解できるはずですし、出題されれば、ほぼ確実に5点獲得できるでしょう。
※当サイトでは、数学が苦手な人のために、高卒認定試験の問題が解けること(正解すること)を優先した解説を行っているため、数学的な厳密性はございません。予めご了承ください。
例えば、次のような問題が大検で毎回のように出題されました。その後、ベン図とよばれる図を使った問題(上記2)も出題されるようになりましたが「ベン図」の問題の解き方は、別のページで説明します。
この問題の中に「全体集合」、「部分集合」、「偶数」、「3の倍数」、「補集合」などの用語が出てきますが、まずは、この用語を覚えることが第1歩です。下の表に覚えるべき内容をまとめました。
集合 | 数や人のグループ 高認では、特に、整数、自然数、偶数、奇数、素数、3の倍数、24の約数などのように、数の集合が問題として出題されます。 |
---|---|
全体集合 | 問題を解くときの集合の範囲 例えば、「1以上5以下の整数を全体集合」とすると指定された問題では、1,2,3,4,5の範囲で考えます。7や10、-1などは無視します。 |
部分集合 | 全体集合の中の一部分の集合のこと。 例えば、「0以上10以下の整数を全体集合のうち部分集合Aを奇数とする」と指定されている問題では、集合Aは1,3,5,7,9の5つのこと整数のことです。これを数学では、A={1,3,5,7,9}と表現します。 |
補集合A | 着目している集合以外の要素(Aでない) 例えば「全体集合を1以上5以下の整数とし、 その部分集合Aを偶数(2と4)とする」と指定された問題では、 は、「Aでない」要素を意味するので、1,3,5の3つの整数のことです。 数学では、A={1,3,5}と書きます。 |
※自然数は0が含まれないことに注意!
※素数とは、1または自分自身でしか割り切れない数のことです。例えば、4は1と2と4で割り切れるので、素数ではありません。これに対し7は1または7(自分自身)でしか割り切れないので素数です。素数は、2,3,5,7,11,13,17,19 …(兄さん5時に、セブンイレブン。父さん,いいなと、ついていく)と暗記しておくとよいでしょう。なお、1は素数ではないので要注意!
※一般的には、約数や倍数は負の数やゼロ(0)も含まれます。これまでの高卒認定(高認)試験を見ると、正の範囲で出題となっているので、ここでは正の範囲で考えます。
ここでは、∩(キャップ)と∪(カップ)について、問題を解きながら説明します。
超簡単に言えば、∩(キャップ)は2つの集合の共通部分、∪(カップ)は2つの集合を合わせたものです。
また「要素」という言葉が出てきますが、「要素」は集合の中身ひとつひとつのことを言います。実際の試験(高卒認定/高認)では要素の個数を解答する問題が多くなっています。
全体集合Uを,U={χ│χは1けたの自然数}とし,Uの部分集合を
A={χ│χは7以下の素数},
B={χ│χは1けたの奇数},
C={χ│5≦χ≦7}
とするとき,次の集合の要素を求めよ。
(1) A∩B (2) A∪B (3)
(4) (5) A∩(6) A∪
(7) ∩B (8)まずは、集合を書き表します。試験でも実際に書いてください。
と数学独特な表現をしていますが、これは全体集合は1けたの自然数ということを表しています。つまり、
となり、この問題はこの1~9までの範囲で考えるということです。
※集合のUとカップの∪は形が似ているので、混同しないように気をつけてくださいね。
同じように、部分集合A,B,Cも書き出してみます。
となり、これで準備完了です。
※Aの「7以下」は7を含みますので注意してください。つまり、「以下」や「以上」はその数を含みます。Cの5≦χ≦7は<の下に=があるので、5と7を含みます。
まず、(1)のA∩Bですが、∩(キャップ)は2つの集合の共通部分(共通要素)なので、AとBを見比べて、共通なもの(同じ数)を探します。
すると、3,5,7が共通であることがわかります。よって、
が正解です。
(2)のA∪Bですが、∪(カップ)は2つの集合を合わせたすべての要素です。AとBを見比べて、すべての数を書き出します。
AとBを合わせると、2,3,5,7,1,3,5,7,9となりますが、同じ要素は重複しないように書いて、小さい順に並べるというルールがあるので、
が正解です。
次に(3)の
ですが、Aの頭に棒(━)があります。これは「エイバー」と読みます。そして、 は、否定を意味し「Aでないもの」という意味になります。Aは「7以下の素数」であることを問題で指定されているので、「Aでないもの」とは「7以下の素数でないもの(2,3,5,7でないもの)」という意味です。あくまでも、全体集合U={1,2,3,4,5,6,7,8,9}の中で考えます。この中で、「Aでないもの」を書き出せばOK。A(2,3,5,7)を除けばよいのです。
が正解です。
同じように(4)の
は、が正解です。
(5)のA∩
は、はじめに書き出したと(4)で求めた
の∩(キャップ)です。つまり、Aと
の2つの集合の共通部分(共通要素)です。よく見比べて、もれなく書き出しましょう。するととなり、要素はひとつです。
同じように、(6)のA∪
は、と
を見比べて、∪(カップ)を書き出します。2つの集合を合わせたすべての要素を重複しないように、小さい順に、もれなく書き出します。
となります。
(7)の
∩Bは、と
を見比べて、共通する要素をすべて書き出します。
となります。
最後の(8)
ですが、A∩Bの全体のバー(否定)なので、A∩Bでないものを書き出します。A∩Bは(1)で求めており、
なので、全体集合Uの中から3,5,7を除いたものを書き出せばOKです。
になります。
このように「集合と要素の個数の問題」では、実際に要素を書き出して考えることが大切です。基礎を覚えれば、集中力の問題と言えるでしょう。
このページで最初に掲載した問題です。ぜひ、自力で解いてみてください。頭の中で考えずに必ず紙に書いて考えてください。
H8年度
まず、全体集合を書き出します。自然数は0や負の数(マイナス)は含まれないことに注意してください。
部分集合Aは偶数なので、
部分集合Bは3の倍数なので、
(1)のA∩Bで、∩(キャップ)は2つの集合の共通部分(共通要素)なので、AとBを見比べて、共通なもの(同じ数)を探して、書き出します。すると、
となるので、要素の個数は「3個」が正解です。
※ちなみに、この問題は、偶数で3の倍数(偶数かつ3の倍数=6の倍数)を、全体集合(1~20までの自然数)中から探して、書き出せばよいことになります。
続いて、(2)のA∪
ですが、 を書き出してから考えます。 は「3の倍数でない」ということなので、A∪
は、Aと を合わせた集合なので、となり、要素の個数は17個になります。
〔正解〕
ア=3,イウ=17
数学は出題パターンが決まっており、毎回類似問題が出題されます。数学は特に過去問での勉強が効果的です。
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