日本史Aは近代以降からの出題が多く、日本史Bは各時代から比較的均等に出題されています。ただし、どちらも江戸時代以降の出題が多くを占めていますので、優先して勉強するとよいでしょう。
日本史Aの標準単位は2単位、日本史Bは4単位。単位数は高校での学習量(授業数)を表しています。単純に判断すれば、高卒認定(高認)試験対策でも日本史Aは日本史Bの半分の勉強量でよいわけです。
そのため、「古代史が好き!」、「大学受験等で日本史が必要」など、特別な理由がなければ、日本史Aの受験をおすすめします。
※AとBの受験選択は試験会場で決めることができます(出願時には日本史として申請します)。
日本史Aは近代以降からの出題が多く、日本史Bは各時代から比較的均等に出題されています。ただし、どちらも近・現代の出題が多くなっています。出題される問題数は30問程度です。
試験問題では、歴史資料(図や写真、新聞、会話など)が多く使われています。資料から当時の社会状況や生活などを読み取る問題が目立ちます。中には資料文を読み取る国語の現代文のような問題も出題されています。
このような問題は、全体の3割程度(概ね30点分くらい)を占め日本史の知識がなくても、考察力(よく見て、考える)で正解できます。
このポスターは、日本人の海外移住を推進するものですが、ポスター内の空欄に入る地域を選ぶ問題として出題されました。
選択肢は
① 中央アジア ② 南米 ③ 豪州 ④ アフリカ
です。ポスターの人物が指差す地域を見れば、② 南米が正解であることがわかると思います。
次の過去問も日本史の知識というよりもむしろ考察力が必要な問題です。
上記は歴史資料とともに出題された例です。野球人気が高まった背景について問われています。このタイプの問題は、問題を解くときの感覚(センス)や、一般常識的な(雑学的な)知識が必要です。
この問題を見て、何かの人気が高まる背景には、今も昔もメディアの役割が大きいという事実に気がついた人はセンスがいいかも知れません。
アの「新聞の発行部数の拡大」は、野球の人気の高まりと関係ありそうですが、イ「郵便制度の開始」は直接的には関係なさそうです。
ウは「ラジオ放送」のポスターで、エは「テレビ放送」です。どちらも野球人気の高まりに関係あります。
ここで問題を解くセンスのようなものが必要になります。それは、この問題となっている「いつ」は「大正5年」ということです。テレビが普及し始めたのは第二次世界大戦より後(昭和30年頃/昭和39年の東京オリンピックのときに、普及が促進された)ということなどを知っていれば、エは不正解であることがわかります。
よって、正解は「ア-ウ」の組合せなので、この問題は①が正解です。
なお、NHKの「10min.ボックス日本史」や「歴史秘話ヒストリア」などのドキュメンタリ番組を見おくと、歴史上の事件などがイメージしやすくなり、興味を持つことができますし、日本史の感覚のようなものがつかめると思います。
高卒認定試験の日本史では、資料の考察問題だけでなく、知識問題も多くあります。例えば、「年代の古い順に正しく並べたものを選べ」という問題で、毎回2~3問ほど出題されます。この問題に対して、年代を暗記しておけば正解できるのですが、出題者の意図はそこにはありません。あくまでも歴史をストーリーとして理解しているかを問いたいのです。
この問題は幕末に、鎖国から開国に至る歴史をストーリーとして理解していれば、比較的簡単に正解できます。
幕末、通商(貿易)を目的に、最初に開国を迫ってきたのはロシア(ラックスマン)でした(→イ)。しかし、幕府はあくまでも拒否します。ロシアがやってきた根室は東蝦夷地にあります。当時誰も支配していなかったので、下手したらロシアに奪われてしまうのではないかと危惧して、警備を強化します(→ア)。その後、イギリスやアメリカなどの外国が日本に接近するようになります(→ウ)。そして、アメリカ(ペリー)と条約を結び、日本は歴史上初めて、外国と本格的な貿易を始めるようになります。
歴史を単なる年代や人物の暗記科目として勉強してもつまらないものです。「この事件があったから、こうなった」というような因果関係/ストーリーを学ぶように心がけ、上記のように自分の言葉でまとめると楽しくなりますし、このような問題も解けるようになります。
江戸・明治以降の近現代が中心に出題されています。具体的には、鎖国をしていた日本にラクスマンが開国を要求して根室にやってきた1792年以降を集中的に学習するとよいでしょう。
本試験では、図表(写真や地図、絵画など)をもとに、政治・経済・文化などについて問われます。教科書や参考書に掲載されている図表等は、その内容をよく確認しておくとよいでしょう。
ひととおり、基礎的な内容を勉強したら、過去問を解きましょう。試験ではさまざまな角度から問われます。知っている内容が出題されても、知らない問題のように見えることがあるので、過去問題を多く解いて出題形式に慣れておきましょう。逆に、知識ではなく、資料を考察して解く問題もあります。知らない問題だとあきらめずに、少し考えてみましょう。
日本史Aを「高卒認定ワークブック」で勉強される方は、次の範囲が学習のポイントになります。第1章~第3章は日本史Bの範囲なので日本史Aを受験する場合は必要ありません。日本史Aの勉強をする際、日本史Aと日本史Bの範囲の境目となる第4章の学習範囲は絞られます。第5章~第6章はすべて勉強してOKです。
章 | 該当ページ | 内容 |
---|---|---|
第4章 | p158~p160 | 外国船の来航 |
p161~p162 | 基礎問題 問6~問10 | |
p163 | レベルアップ問題 問1~問2 | |
p175~p190 | 江戸幕府の滅亡 | |
第5章 | p193~p254 | 明治時代と大正時代 |
第6章 | p255~p301 | 昭和時代以降 |
上記の範囲をひととおり勉強したら、過去問題集で勉強しながら、知識を深めていくとよいでしょう。
原始・古代から現代まですべての時代の問題が出題されます。そのため、日本史Aよりも学習に時間がかかります。日本史Aと同様に、写真・地図・図版などのビジュアル問題が必ず出題されます。参考書や教科書・図説などに掲載されている写真・地図・図版は目を通しておきましょう。
過去問題は必ず解きましょう。試験ではさまざまな問われ方をしますので、単に暗記しただけでは戸惑うこともあります。過去問題を解くことにより出題形式に慣れておきましょう。
歴史系の科目は覚えることが多いのですが、ワークブックでは、単元ごとの重要事項の中の「◎ここが出る!」で、アドバイスがなされているので、優先して覚えると効果的です。各単元の本文(重要事項)は高校の教科書的ですが、要点がしぼられ、読みやすいスタイルで書かれています。「高認向け日本史の教科書」という印象を受けます。
高卒認定試験の出題傾向・形式・レベルに合った学習内容なので勉強して無駄になる内容はなく、効率的に基礎から確実に実力をつけることができます。内容は問題が中心。高認に特化した学習書なので、本試験でもワークブックの類似問題が多く出題されています。
また、要点整理がなされており、解説も一問ずつ丁寧に説明されています。高卒認定試験対策に最適な参考書的な問題集です。
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高認の日本史は幕末から現代にかけての問題が多く、日本史Aでは8~9割を占めています。どのような内容で、どんな問われ方をするのかを過去問でつかんでおきましょう。
高卒認定試験の過去問題6回分を掲載・解説。市販されている問題集の中で最も多くの過去問が掲載されています。しかも11月実施分の問題まで収録されている過去問題集は他にありません。
解答解説は、基本事項にも触れながら丁寧に説明されているので、苦手科目の克服にも最適。価格は少々高めですが、自信をもっておすすめできる過去問題集です。
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