通信制高校に入学する生徒は、高校を中退して編入や転入、中学のときに不登校、ひきこもりがちであった生徒等が入学しています。通信制高校は柔軟なカリキュラムであるというメリットを活かし、高校卒業を得るために、アイドル、芸能人、スポーツ選手なども入学しています。
通信制(高校)の創設当初は、経済的な理由、家業を継ぐなどの理由で、全日制や定時制に通うことのできない青少年(主に勤労学生)のための高校として設置されました。今でもそのような役割を担っていますが、社会環境の変化により、通信制高校の社会的な役割やカリキュラムが多様化する傾向が見られます。
そして、通信制高校は学ぶ人のさまざまな状況に対応できる柔軟な学習システムを持つようになり、さまざまな動機や学習歴を持つ生徒が入学するようになりました。
通信制高校は学ぶ人のさまざまな状況に対応できる柔軟な学習システムを持つようになり、さまざまな動機や学習歴を持つ生徒が入学するようになりました。
通信制高校に在籍する生徒の平均年齢は19歳(※)。次のような方(生徒)が入学しています。
これらをみると、通信制高校は、全日制高校への入学者とは明らかに違います。世間で言うところの「普通」とは違うと思いますが、これらの生徒も増大し、社会現象的に一般化しつつあるようです。
※平成24年度学校基本調査。通信制高校の入学者の平均年齢を学校種別で見ると、公立で21歳、私立で17歳となっています。
●参考:通信制高校に在籍する生徒の年齢
データ:学校基本調査(平成24年/文部科学省)
通信制高校に入学する生徒の約8割が、転入、編入、高校中退と言われています。中学卒業後、全日制高校に入学して、何らかの理由で続けることが困難になり、学校を転校したり、中退し、再入学(転入・編入)する生徒たちです。
早い生徒は1年生の4月に通信制高校へ転校しますし、逆に3年生の2学期・卒業までほんのあと少しというところで転入してくる生徒もいます。
今は少子化や公立高校無償化の影響もあって、希望すれば不登校でも全日制に入学することは可能です。しかし、全日制高校の大勢の生徒たちの中で、一律の指導には適応できない生徒たちが自分の居場所を求めて通信制高校へ転校(転入・編入)します。
転校の理由は、いじめや友達ができない等の対人不安からの精神的な疾患、先生や校則が厳しすぎる等の学校への不信、勉強が難しくてついていけない。あるいは授業が易し過ぎてレベルが合わない等の学習上の問題、ゲームや遊びにはまって朝起きられない等の怠惰、など様々です。
通信制高校へ中学校の卒業とともにしてくる生徒の多くは、小学校・中学校で不登校(※)です。不登校の原因はさまざまですが、多くは「いじめ」等の対人関係による自信喪失や対人不安となっています。家庭環境に問題があるケースもあります。
不登校は小学校から始まり、現在、全国の中学・高校生約15万人が不登校です。その受け入れ先の一つとして、適している学校が、登校日数に制約の少ない通信制高校です。
そして自分のペースで通信制高校に通いながら、徐々に慣れていき、先生や生徒との人間関係の中で、元気になっていく生徒も多くいます。
※不登校の定義(文部科学省)は、年度間(=4月~翌年3月)で連続又は断続して30日以上欠席した児童生徒不登校のこと。何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にあること。ただし、病気や経済的理由によるものは不登校とは見なさない。
●参考:不登校生徒数の推移
文部科学省の調査
スポーツや芸能・芸術活動を行っている若者が、高い意識を持って自分の夢にチャレンジしていく時、時間と場所の自由度が高く、学びやすい学習システム(柔軟性のあるカリキュラム)により勉強との両立ができるため、通信制高校を選ぶという状況が生まれてきました。
最近は、アイドルやスポーツ選手が通信制高校を利用するケースが多くなっています。AKB48グループのメンバー、嵐の二宮和也さん、KinKi Kidsの堂本光一さん、俳優の今井翼さん、サッカー選手の香川真司さんなどが話題となっています。
〔参考〕
千葉県柏市幼稚園協会 平成25年 夏季研修会「通信制高校に学ぶ子どもたち」の講演内容及び配布資料