年々増え続ける通信制高校。今や多くの社会的な役割を担っている。技能連携によりコースや通学スタイルが多様化。インターネットを活用したカリキュラム。通信制高校はマイペースで勉強でき、夢を目指して、仕事や活動を続けながら高校学歴を取得できるようになった。
通信制高校は、最近の少子化にもかかわらず、増え続けています。平成25年度の調査速報では、全国で221校。平成9年と比べて、約2.3倍となっています。
通信制高校数の増加の背景としては、働きたい生徒や不登校・ひきこもりの生徒、芸能人、スポーツ選手などが、柔軟なカリキュラムを活かし、それぞれのライフスタイルにあった学び方を実現できる通信制高校を選択するケースが増えていることが挙げられます。
また、それぞれの生徒のニーズに応えるべく、教育特区制度(構造改革特区)により株式会社が設立した高校が増えたことなどが考えられます。
※通信制高校とは、高校の教育課程(=全日制、定時制、通信制の3種)のうち通信制課程」が置かれている高校のことです。詳しくは下記のリンク先をご参照ください。
通信制高校の創設は昭和23年。学校教育法施行規則には「勤労青年の教育上適切な配慮をするよう努めるものとする」と明記されており、家業従事者や経済的な理由等で全日制・定時制の高校に通学することができない生徒(勤労青年)に対して、通信の方法により高校教育を受ける機会を与える目的で設置されました。
※1948年(昭和23年)の学校教育法制定時に「通信による教育を行なうことができる」と規定されたのが始まり、1955年(昭和30年)には文部省通達で通信制教育のみで卒業が可能になり、1961年(昭和36年)の学校教育法改正により、高等学校に「通信制の課程をおくことができる」とされ、現在のような通信制高校の形態になったと思われます。
ところで、日本は戦後の復興、高度経済成長期を経て、経済的に豊かな国となりました。今では、中学卒業後すぐに就職する人は少なくなり、創設当時の社会環境とは違っています。今でも、仕事やアルバイトで、学費を稼ぎながら通信制高校に在学している方もいらっしゃいますが、むしろ、不登校や引きこもり、高校中退者(転入学・編入学)などの受け皿的な役割が色濃くなっています。
また、通信制高校の余裕あるカリキュラムを活かし、芸能やスポーツ、音楽、美術など分野で大きな夢を持ち学校生活以外のことに時間を注ぎたい方々が入学する学校になっています。
現在、公立通信制高校以外のほとんどは「広域通信制高校」となっています。広域通信制高校とは、本校の所在地に関わらず、全国どこの都道府県に住んでいてもから入学できる通信制高校ことです。広域通信制高校は、本部校の他、全国各地に協力校や学習センター、キャンパスなどがあり、普段は、そこで学習指導などを受けることができます。
広域通信制高校が増えたことにより、生徒は全国の多様な特色を持つ通信制高校の中から、校風が自分に合いそうな学校や、やりたいコースを設置している学校など、自由に選択して入学(転・編入学)できるようになりました。
例えば、広域通信制高校の第一学院高等学校は、茨城県の高萩市と兵庫県の養父市に本校がありますが、全国各地に40校程度のキャンパスがあり、生徒は最寄りのキャンパスに通学することができます。
通信制高校が、専門スクール等と連携して、高校のカリキュラムの中に、専門的な技術や知識が学べるコースを設置している学校が増えています。芸術やスポーツをはじめ、IT、漫画、イラスト、ペット、美容、ネイル、声優、俳優、コメディアンなどのコースを設定され、通信制高校のコースが多種多様化しています。
このように、レポート提出やスクーリングなどの学習にあてる時間以外は、自分の興味や関心のあることに打ち込むことができるように各種コースを設置している通信制高校も増えています。
例えば、広域通信制高校の鹿島学園高等学校では、スポーツや芸能・芸術系をはじめ多種多様な12のコースが設置されています。
通信制高校と高等専修学校(※)と技能連携しているケースが目立っています。技能連携制度を利用する生徒は、高等専修学校で修得した単位を通信制高校の卒業単位に加算できるというメリットがあります。また、専修学校の専門的な知識や技術、資格を身に付けながら、高校卒業の学歴も取得することができるため、就職等で有利になることが期待されています。
詳しくは、下記の「技能連携とは」のリンク先をご参照ください。
※高等専修学校とは、高等課程と呼ばれる課程を置く専修学校で、職業や実際生活に必要な能力を育成し、教養の向上を図ることを目的とする学校で、職業や資格と直結したことを学びます。福祉・医療・商業・家政・被服・工業・経理・情報などの分野があります。
通信制高校では、基本的に月に2~3回のスクーリングとなっていますが、最近では月曜日から金曜日の「毎日通学型」~「週1日通学型」、年に1~2回の「集中スクーリング」など、自由に選べる通信制高校も増えてきました。
例えば、広域通信制高校の勇志国際高等学校では、時間のない社会人でも高校卒業ができるよう「社会人コース」の設定されています。
私は、社会での不便さと見えない偏見に逆らいたいと思いながらも、「学歴」というものに引け目を感じていました。そんな時に、勇志を見つけたのです。
「もう遅い…行かなくても…今更…。」そんな風に思う人も心配ありません。ぜひ勇志に来てください。最初は確かに不安でした。しかし、スクーリングに行ってみると、帰るのが寂しくなるほど充実しています。
また、不登校やひきこもりの経験があり、少しずつ集団生活に慣れていきたいという人や少逆に新しい友達をどんどんつくって高校生活を楽しみたいという人も、このようなタイプの通信制高校の自由な通学スタイルを上手に活用するとよいでしょう。
高等学校学習指導要領の一部改正(※)で、インターネットを活用した授業を自宅で受講した場合でも、スクーリングを受けた時間数として認められるようになりました。
この制度を活用して、自宅にいながらリアルタイムで授業を受けることができたり、ホームページにアクセスして、授業を選んで受講できるなどの仕組みを導入している通信制高校が増えています。また、TV電話を利用して補習を受けたり、直接質問したりする仕組みを取り入れている通信制高校もあります。
さらにレポート提出もインターネットを活用し、レポートが自動添削されるなど、IT技術を活用した新しいスタイルの学習方法を取り入れている通信制高校が一般的になってきたようです。
学習センターが近くにないという人でも勇志にはネット授業があります。ネット授業は分からないことがあっても先生が親切に教えてくれるし、親身になって相談してくれるので安心です。一緒に参加している生徒とも顔を見て話が出来るので家で受講していても本当に学校にいるような感覚で授業を受けることができます。
※学校が、その指導計画に、各教科・科目又は特別活動について計画的かつ継続的に行われるラジオ放送、テレビ放送その他の多様なメディアを利用して行う学習を取り入れた場合で、生徒がこれらの方法により学習し、その成果が満足できると認められるときは、その生徒について、その各教科・科目の面接指導の時間数又は特別活動の時間数のうち、各メディアごとにそれぞれ10分の6以内の時間数を免除することができる。ただし、免除する時間数は、合わせて10分の8を超えることができない。(高等学校学習指導要領 第1章 総則 第8款「通信制の課程における教育課程の特例」より)