ベン図の問題
ベン図とは
ベン図とは、集合が表す範囲(領域)を図で表現したものです。ベン図は、大きな四角い枠(全体集合)Uの中に、2つの丸い枠(部分集合Aと部分集合B)の一部を重ねて描くのが基本です。
ベン図の基本図
全体集合Uとは、対象となる集合全体を表しています。ベン図の問題は全体集合の中で考えます。そして、部分集合はその全体集合の中の一部です。
例えば、全体集合Uを「1以上10以下の整数」として、部分集合Aを「(1以上10以下の整数の中で)2の倍数」、部分集合Bを「(1以上10以下の整数の中で)3の倍数」のような条件で出題されます。
この場合、全体集合が「1以上10以下の整数」なので、例えば、15は3の倍数ですが、この問題では無視します。
※全体集合や部分集合を単に「集合U」「集合A」「集合B」のように呼ぶこともあります。
ベン図で集合を表現するには
ベン図では、それぞれの集合の領域を斜線や塗りつぶすことで示します。
例えば、次のベン図は部分集合Aを表しています。
部分集合Aを表すベン図
A∩BとA∪B
∩(キャップ)は2つの集合の共通部分、∪(カップ)は2つの集合を(重ね)合わせた部分です。ベン図に表すと次のようになります。
A∩Bを表すベン図
A∪Bを表すベン図
もし、上記の内容が理解できない方は、難しく考えすぎていると思われます。実は、言っていることは超簡単なんです。Aの領域(円形)とBの領域(円形)があって、共通の領域(交わっているところ)が、A∩Bです。そして、2つの領域を合わせた領域がA∪Bです。
∩(キャップ)と∪(カップ)の向きは間違えないように、確実に覚えてくださいね。
と
次のベン図は、全体からAの部分の円形が抜けています(Aの内部が白)。
つまり「Aでない集合」です。これを数学では、 と表現します。
Aバー(Aの否定)を表すベン図
ここでは、ベン図は割愛しますが、
も「Bでない集合」なので、ベン図は、全体からBの部分が抜ける図になります(Bの内部が白)。∩B
次の図は、実際の試験で正解としてよくある図(三日月形のベン図)です。少々難解ですが、このレベルが理解できると、高認の問題もラクに解けるようになるので、ぜひ、頑張ってください。
よく見ると「Aでない部分」と「B」との共通部分(∩キャップ)です。
数学的に表現すると、です。 ∩B
AバーキャップBを表すベン図
よく理解できない人は、下の2つの図を見比べてみてください。あくまでも「Aでない部分」と「B」との共通部分です。共通部分なので、どちらか一方にでも白い領域があれば、そこは共通部分にならないので、必ず除外されます。
Aバー(Aの否定)を表すベン図
Bを表すベン図
∪B
次の図は比較的簡単です。
「Aでない部分」と「B」とを(単純に)合わせた部分(∪カップ)です。
数学的に表現すると、となります。 ∪B
AバーカップBを表すベン図
この
∪B(合わせた部分)と、先の ∩B(共通部分)とを混同しないように注意してください。ここまで、クリアーできれば、あと残りの2つです。(←どちらも同じベン図)
と ∪次の図は、ある一部分が抜けています。つまり、抜けている白い部分以外の領域を表しています。
抜けているのは、A∩Bの部分(白い部分)です。これ(A∩B)以外の領域を表しているので、になります。
(AキャップB)バーを表すベン図
実はこのベン図には、もう一つの見方があります。それは、と表すことができます。うまく理解できない方は、次の図をよく見て考えてみてください。 ∪
と の(重ね)合わせた部分ということです。そのため、(AバーカップBバー)バーを表すベン図
試験(高卒認定/高認)では、「次のベン図の表す集合はどれか」という問題がよく出題されます。上記のベン図で出題された場合、選択肢の中に、
∪ または、 のどちらかが含まれているので、それを選択すれば正解です。(←どちらも同じベン図)
と ∩次の図で、抜けているのは、A∪Bの部分(白い部分)です。これ以外の領域を表しているので、
になります。(AキャップB)バーを表すベン図
こちらももう一つの見方があります。です(Aでもなく、Bでもない部分)。次の図でそれを確認してみてください。 ∩
と との共通部分共通部分なので、どちらか一方にでも白い部分があったら除外します。
AバーキャップBバーを表すベン図
高認の過去問にチャレンジ・1
次の問題は過去問題です。必要なことは、このページですべて説明してあります。正解だけでなく、正解でない図も、どんな集合を表しているのかを、数学的な記号で書けるようにしておきましょう。
●解答・解説
1の白い部分はA∪Bです。それ以外の部分(A∪Bでない部分)なので、
を表しています。また、上の本文で説明してありますが、 ∩ も表しています。2は、A以外の部分(
)のうち、Bと重なっている部分(共通部分)です。つまり、 ∩Bを表しています。3は、B以外の部分(
)のうち、Aと重なっている部分(共通部分)です。つまり、A∩ を表しています。4の白い部分はA∩Bです。それ以外の部分(A∩Bでない部分)なので、
を表しています。これが正解です。高認の過去問にチャレンジ・2
次の問題は、問われ方が上の問題と少々違います。しっかり読めば解ける問題なので、惑わされずに頑張ってみましょう。また、それぞれの図は、どのような集合を表しているのか、数学的な記号で書けるようにしておきましょう。
20以下の自然数の集合を全体集合Uとし、その部分集合で、3の倍数全体の集合をA、4の倍数全体の集合をBとする。次の図の斜線部のうち、3の倍数であるが、4の倍数でない数の全体の集合を表しているものはどれか。
●解答・解説
ごちゃごちゃと書かれていますが、
A(3の倍数全体の集合)であり、B(4の倍数全体の集合)でないということなので、
Aの中でBでない部分ということになります。この時点で、1が正解であることがわかる方もいらっしゃると思います。
※この問題では、「○の倍数」などと表現して、難しそうに見えますが、この問題では気にしなくても正解できます。
言い換えると、Aとということです。つまり の共通部分A∩です。A∩ を表す図は1です。
ちなみに、2は
∩Bです。3は、A∩Bです。
4は、A∪Bです。
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