一次不等式の文章問題(整数問題編)
不等式の文章問題のうち「整数問題」では、まずは問題文を日本語として、正しく理解し、それを不等式で表し、その不等式を一次方程式を解くような感覚で計算して解を出します。そして、その解を正しく解釈することがポイントになります。その際、混乱やミスを防ぐために、数直線を書いて考えるとよいでしょう。
問題文を「不等式」に翻訳する
例題
ある整数χから3を引いて5倍したものは、χに7を加えた数より大きい。これを満たす最小の整数は【カ】である。
目標は最小の整数です。実際の試験では、問題文の『最小の整数は【カ】』の部分にアンダーラインや波線を引いておくと、目的意識を持って解くことができるので効果的です。そして、さらに問題文に印を付けて、数式を書き込んでみましょう。
- まずは、上記のメモをもとに、問題文を数式で表します。
χから3を引いて5倍したものは、 を不等号の向きに注意して、数式(不等式)で表すと、
χに7を加えた数より大きい。
(χ-3)× 5 > χ + 7 となります。
※AはBよりも大きいを不等式で表すと、A > B となります。逆に「AはBよりも小さい」を不等式で表すと、 A < B となります。なお、「AはB以上」を不等式で表すと A ≧ B となり、「AはB以下」を不等式で表すと A ≦ B となります。日本語として何が主語になっているのかを十分に気をつけて不等式で表します。
- 次に、上で立てた不等式を解きます。
(χ-3)× 5 > χ + 7
5(χ-3) > χ + 7
5χ-15 > χ + 7
5χ-χ > 7 + 15
4χ > 22
4χ > 22/4
χ > 5.5
- 計算結果の意味を考えて、正解を出します。
χ > 5.5 と出ました。日本語にすると「χ は 5.5 よりも大きい。」
χは問題文をみると整数です。
なので、χは、6,7,8,9,10 … (6以上の整数すべてなので無限にある)
問題文を見ると、「最小の整数は【カ】である」となっているので、
6,7,8,9,10 … 最小の整数 6 が正解です。
一次不等式の整数問題を自力で解いてみよう!
高卒認定の過去問題です。ぜひ、鉛筆を持って、紙に書いて、不等式を立てて、自力で解いてみてください。解答は問題下の「正解はこちら」をタップまたはクリックすると表示されます。
問題1
13からある数χを引いた数は、χを3倍した数より大きい。このような数のうち、最大の整数は【イ】である。
問題文を不等式にすると、
13-χ > 3χ
となるので、この不等式を解く
13 > 3χ+χ
13 > 4χ
13 > 4χ
3.25 > χ
この不等式の解を日本語にすると
「χは3.25より小さい」
なので、下図のような数直線を書いて考えると正解が得られる。
問題2
5からある数χを引いて2倍した数は、χから4を引いた数より大きい。このようなχのなかで最大の整数は【オ】である。
問題3
ある数χに3を加えた数は、χから2を引いて3倍した数より小さい。これを満たすχの中で、最小の整数は【キ】である。
一次不等式の整数問題のまとめ
今回の問題も数学的な考えが得意な人は、簡単に正解できると思います。ただ、数学が苦手な人にとっては混乱してしまいがちな問題です。不等式を立てて、計算して解を出すところまでは、比較的簡単だと思いますが、その後の不等式の解の意味を正しく解釈し、正解を出すところで迷ってしまうのです。そんな方は、例題のように数直線を書いて考えるとわかりやすいと思います。
解き方の手順は、
- 問題文の日本語を不等式にする
- 不等式を解く
- 不等式の解を日本語(「χは●より大きい」など)にして、正解を出す。
の流れになります。
高卒認定スーパー実戦過去問題集 - 数学
数学は出題パターンが決まっており、毎回類似問題が出題されます。数学は特に過去問での勉強が効果的です。
高卒認定試験の過去問題6回分を掲載・解説。市販されている問題集の中で最も多くの過去問が掲載されています。しかも11月実施分の問題まで収録されている過去問題集は他にありません。
解答解説は、基本事項にも触れながら丁寧に説明されているので、苦手科目の克服にも最適。価格は少々高めですが、自信をもっておすすめできる過去問題集です。