通信制高校サポート校とは
サポート校の修学旅行
サポート校とは
サポート校とは、通信制高校を3年間で卒業(高卒学歴を取得)した上で、卒業後の進路を決定できるように、学習面や生活面を支援する学校(教育機関)です。高校卒業のための支援にとどまらず、メンタル面もサポートしながら、技能教育などを行い、将来を見据えた指導を行います。
サポート校では、社会に出たときに役立つ資格取得のための授業も行います。音楽やダンス、スポーツ、パソコン、イラストなど個人の才能や能力を伸長するための授業を行うサポート校もありますし、授業や学校行事など全日制高校と同様のスクールライフを体験できる「全日制型のサポート校」もあります。
サポート校の運営は学習塾、予備校、専門学校などが行っており、それぞれの学校の特色を活かしたカリキュラムで授業が行われています。 サポート校への新入学は、通信制高校のカリキュラムに合わせて、春や秋が多くなっていますが、転入学や編入学は随時募集しています。入学するときには、連携している通信制高校へも同時に入学し、卒業時には、サポート校と同時に通信制高校も卒業することになるので、高等学校卒業の学歴が得られます。
サポート校が必要な理由
通信制高校の基本は自学自習であり、提出課題(レポート)の提出やスクーリング、単位認定試験等を自ら管理しながら卒業を目指します。しかし、通信制高校では、途中で断念(退学)してしまう生徒も少なくなく、卒業率は50%程度といわれています。通信制高校を独学で卒業することは、難しいとされています。そこで、サポート校では、通信制高校を3年間で確実に卒業するために、卒業単位修得のための学習指導(授業)やメンタル面を含む生活指導を行ないます。
サポート校の指導内容
サポート校の授業
サポート校では、遠方から通う生徒への配慮から始業時間を遅めに設定している場合が多くなっています。基本的には、通信制高校の卒業に必要な各科目のレポート(提出課題)の作成指導や単位認定試験対策、スクーリング指導を行ないます。
※単位認定試験…全日制高校の中間試験、期末試験に相当します。
サポート校では、全日制高校よりも時間的に余裕があるため、その時間を活用して、卒業後の将来を見据えた技能向上のための授業や専門教育に力を入れ、付加価値の高い授業を行なっています。 例えば、漢字検定や英語検定、パソコン検定などの各種技能検定や資格試験のための授業を行ったり、音楽やスポーツ、芸能、ファッション、マンガ・イラスト、ICTなどの専門教育に力を入れているサポート校もあります。
サポート校のコース(カリキュラム)例
サポート校の指導内容(カリキュラム・コース)は多彩です。下記にその一例を紹介します。ご自身の興味・関心に合わせて、目的に合ったコースを選ぶことができます。
分野・コース | 指導内容(例) |
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進学 | 中学の復習から高校の基礎学習、大学受験指導まで。個々の学力に応じて個別指導を行ないます。 |
不登校支援 | フリースクール的なサポート校。話をしてみる、色々な事をやってみる、友達をつくってみる、中学校の基礎的な学習をしてみるなど。登校日数もマイペース。 例:興学社高等学院 |
保育・福祉 | 将来、保育や福祉関係の仕事に就くことを目指すコース。実習などを中心に技能を学びます。 |
情報・ICT | コンピュータの知識とパソコンの操作等を基礎から学びます。情報処理検定対策など。 |
国際・留学 | 国際的に活動することを目指す人のためのコース。英語を中心とした国際理解、留学など。 |
美術 | 絵画や陶芸、彫刻などの基礎から応用までを学び、美術的な表現力を高めます。 |
スポーツ | 野球やサッカー、格闘技など、スポーツの技術向上を目指しながら高校卒業を目指します。 例:ルーキーズ |
芸能 | 演劇や歌、ダンスなど。現役のプロから本格的な指導を受けることにより、プロへの道も開かれていきます。 例:東京芸能学園 高等部 |
音楽 | 音楽を通じて、各々の個性を生かし、高校卒業資格を取得することができます。現役のプロミュージシャンから直接レッスンを受けることができ、夢に向かって前進できます。 例:東京自由学院 |
サポート校の強み・メリット
通信制高校の自学自習をサポート
通信制高校での学習は、基本的に生徒の自主性に任せています。自分の立てた学習計画で「自由」に勉強し、必要な単位を修得し、卒業を目指します(※)。しかし、「自由」ということは、「自分の責任で自分を管理し、行動しなくてはならない」ということです。課題やレポートの提出が遅れても、投げ出したくなっても誰も指導してくれません。特に10代~20代前半の生徒が、自学自習で通信制高校を卒業するというのは、なかなか難しいことでしょう。高校を3年間で確実に卒業できるよう適切な指導を行っているのがサポート校です。
※在籍の上限が、6年間や8年間など、制限がある通信制高校もあります。
学習進度(学力)の心配はない
学力に自信がなく、通信制高校のカリキュラムを自学自習(独学)で行うことが困難な生徒でも、サポート校に通えばレポートの作成や単位認定試験対策(※)など、親身な指導を受けることができます。学習進度の状況によっては、中学の復習も指導してくれます。ほぼ確実に3年間で高校卒業を卒業できるところにサポート校の強みがあります。
登校日数を選べる
サポート校や通信制高校へ在籍しながら、自由な時間を有意義に使いたい人にとっては、レポートや試験対策は効率的に済ませてしまいたいものです。サポート校の中にはそれぞれの生活スタイルにあわせて、週1回や月1回、夜間コースをもつ学校もあります。アルバイトや習い事、芸能やスポーツのプロを目指した活動をしながら効率よく、高校卒業の学歴を取得することもできます。
不登校・ひきこもり経験者にも柔軟に対応
不登校、長期欠席などの経験を持ち、集団生活になじみのない生徒でも、サポート校では親身に対応してくれます。学習指導だけでなく、生活面の指導やメンタル面のサポートも行っています。特にメンタル面については、カウンセリングを行う専門スタッフが常駐しているサポート校もあります。登校日は各自のペースにあわせて、週1日~5日や月1回のコースなどを選ぶことができます。最初は登校日数の少ないコースから、徐々に学校生活に慣れながら、登校日数を増やしていくこともできます。また、不登校生のためのクラスやコースを設置しているサポート校もあります。
全日制高校と同じような生活スタイルも可能
週5日登校し、全日制高校生と同等のスクールライフを体験できるように学校行事を実施している「全日制高校型サポート校」もあります。比較的規模の大きな全日制高校型サポート校では、入学式や始業式、オリエンテーション、体育祭、生活体験発表会、林間学校、校外学習、修学旅行、文化祭、スキースノーボード教室などさまざまな行事やイベントを行っています。このようなサポート校では、全日制高校に通う生徒と同等な学校生活が送れます。
将来を見据えた多彩なカリキュラム
高等学校卒業学歴(高卒資格)を取得するだけでなく、本人の希望や興味・関心(やりたいことなど)に対応した充実した学校生活を送るためのカリキュラム(コース)を設置しているサポート校が多くあります。将来、社会に出たときに役立つさまざまな資格や技能を身につけたり、人間性を向上させるためのカリキュラムを取り入れ、サポート校ならではの意義ある指導を行なっています。
ながら入学ができる
サポート校がどのようなカリキュラム(コース)を持つかは、運営母体(塾や予備校、専門学校など)もよって異なり、それぞれの特色を活かした内容になっています。例えば、音楽の専門学校が運営するサポート校では、音楽の知識と技能を中心としたカリキュラム、学習塾が運営するサポート校では、大学受験を中心としたカリキュラムとなっています。特に、文化、芸能、スポーツなどの各分野でカリキュラムが多彩になる傾向にあり、多くのサポート校の中から自分にあったサポート校を選びやすくなっています。
サポート校では、興味・関心のあるコースで有意義な時間を過ごすことができます。「○○を学びながら高校卒業を目指せる」ことは、サポート校ならではの大きなメリットの一つです。
就職に強い「技能連携型サポート校」
専修学校が通信制高校と技能連携して、サポート校と同じような教育を行っている学校もあります。「技能連携型サポート校」では、専修学校が専門教育とともに高校卒業に必要な授業も行っており、3年間で専修学校と高校の両方を卒業することができるため、就職が有利になります。全日制高校では身につけることができない技能の修得ができます。
サポート校への入学
サポート校への入学資格
サポート校への入学資格者は、原則として中学校卒業者(=中学校既卒者)です。高校を中退して再入学したり、転校生として転入したりとさまざまです。また、中学で不登校となっている生徒を受け入れているサポート校もあります。柔軟な受け入れ体制が整っていることは、サポート校の大きな特色の一つです。
サポート校の入学時期
サポート校では、通信制高校の入学時期にあわせて、春と秋の入学が多くなっていますが、転入・編入については随時受け入れを行っています。サポート校への入学と同時に通信制高校へも入学(または転入・編入)します。
サポート校の入学試験
サポート校の入学選考試験は書類選考と面接がほとんどです。筆記試験も行われる場合もありますが、400字程度の作文や基本的な学力を見る程度になっています。なお、面接は通常は保護者同伴の場合もあり、5分から10分程度です。作文のテーマは「私の夢」「自分の将来について」など各個人の将来に関するテーマが多くなっています。
サポート校の学費
学費についてはサポート校や入学するコースによって金額や内訳に差がありますが、週5日間通うコースの場合、初年度は概ね90万円~100万円程度です。内訳は次のようになっています(サポート校により異なります)。
およその費用 | |
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受験料・手続金など | 約3万円 |
入学金 | 約15万円 |
授業料(年間) | 約50万円 |
施設費・設備費 | 約20万円 |
その他 | 0~10万円程度 |
合計(初年度) | 約90万円~100万円 |
※週に1日程度通うコースや予備校や学習塾に併設されている、サポートコース(主に、レポート指導や定期テスト対策のみを行うコース)では、一般的には初年度で30万円程度です。
全日制型サポート校の年間行事
全日制高校と同じように学校行事に力を入れている「全日制高校型」のサポート校では、文化祭や体育祭など、生徒が主体となって行うイベントも多く、全日制高校と同じようなスクールライフを体験することができ、高校時代のよき思い出を作ることができます。ここでは、全日制型サポート校の年間予定の一例を紹介します。
時期 | 行事・イベント |
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4月 ┆ 5月 | 入学式 始業式 新入生オリエンテーション |
6月 ┆ 7月 | 進路相談会 3者面談 校外学習 |
8月 ┆ 9月 ┆ 10月 | 前期定期試験 夏休み、自然教室、夏期講習 海外短期留学/修学旅行 進路説明会、保護者会 体育祭/卒業式 |
11月 ┆ 12月 | 文化祭 進路相談会 クリスマスパーティー 冬休み、冬期講習 |
1月 ┆ 2月 ┆ 3月 | 後期定期試験 校外学習、スキー教室 三者面談 卒業式 |
サポート校卒業時の学歴
サポート校へ入学するときには、連携している通信制高校へも同時に入学し、卒業時には、サポート校と同時に通信制高校も卒業することになります。そのため、卒業時の最終学歴は、高等学校卒業になります。
履歴書には例えば次のように記載することができます。
令和6年4月 ○○高等学校 通信課程 入学
(□□高等学院 △△科 入学)
令和9年3月 ○○高等学校 通信課程 卒業
(□□高等学院 △△科 卒業)